効果はちょっと弱いけど、乾燥させたベニオウの実の皮と魔力を注いだセリアナの実の油を混ぜたらお肌つるつるポーションができたでしょ?
だから今度は、髪の毛つるつるポーションを作ってみようって事になったんだ。
「まぁ、前もって調べた時点で、ベニオウの実の皮を発酵させると中の成分の一部が髪の毛にも効果があると解っておるからのぉ」
「ええ。このポーションを熟成させれば、もしかすると髪の毛にも効果があるポーションができてしまうかもしれませんわね」
前にベニオウの実の皮の中には、熟成させるだけで髪の毛をつやつやにしてくれる成分があるって言ってたでしょ?
だからロルフさんたちは、もしかしたら今作ったお薬を熟成させたら髪の毛つやつやポーションができちゃうかも? って言うんだよね。
「という訳じゃから、ルディーン君。すまぬが、このポーションを熟成させてもらえるかな?」
「うん! 僕、やってみるよ」
ロルフさんに言われて、僕、さっき作ったお薬に熟成のスキルを使ってみたんだ。
でもね、
「あれ? 熟成しないや」
スキルは発動してるはずなのに、何でか知らないけどお薬は全然熟成しなかったんだよね。
「何、熟成をしないとな?」
それを聞いたロルフさんはびっくり。
慌てて僕がスキルを使ったお薬二階席をかけて調べてみたんだけど、そしたらやっぱりスキルを使う前と全然変わってなかったみたいなんだ。
「むう。確かに、何の変化もしておらぬようじゃ」
「ヴァルトよ。前もって調べた時は、確かに熟成で髪の毛にも効果が出ることが確認できていたのだな?」
「うむ。調べたのはルディーン君から貰った酒ではあるが、熟成によって一部の成分が髪の毛にも効果があるようになっておったのは間違いない」
魔力はあんまり入って無くっても、売ってるベニオウの実だって入ってる成分はおんなじでしょ?
だからベニオウの実の皮に入ってるのが熟成で変わったのは間違いないはずだよってロルフさんは言うんだ。
でもね、それを聞いたお爺さん司祭様はこう聞いたんだよ。
「酒を調べて変化があったというのであれば、それはもしや熟成ではなく発酵が変質した理由なのではないか?」
「いや、先ほども言った通り、変質する成分は皮に含まれておるのじゃ。酒にする時に発酵するのはベニオウの実の果汁じゃからのぉ。それで皮の中の成分が変質するとは思えぬのじゃが」
「しかし、可能性があるのであればやってみる価値はあるのではないか?」
お爺さん司祭様がね、間違っててもいいからやってみようよって言うもんだから、今度はお薬に発酵をかけてみたんだ。
でもね、今度はスキル自体が発動しなかったもんだからびっくり。
「大変だ、司祭様。僕、発酵のスキルが使えなくなっちゃった!」
「使えなくなった?」
「うん。今このお薬に発酵を使おうとしたんだけど、発動しなかったんだよ」
だから僕、お爺さん司祭様にスキルが発動しなかったことを教えてあげたんだ。
でもね、それを聞いてたロルフさんがぱちっておでこを叩いてすまんすまんって。
「いかん、失念しておった。ルディーン君、驚かせて悪かったのぉ。それは別にスキルが使えなくなったわけではないのじゃ」
「僕がスキルを使えなくなったんじゃないの?」
「うむ。発酵というのはな、ものが腐るのと同じような事なのじゃよ」
ロルフさんはね、薬草を煮出しただけのものと違って魔力を注いで作ったポーションは腐る事が無いから発酵をかけたって発動するはずないんだよって教えてくれたんだ。
「そっか。じゃあ発酵のスキルが使えなくなったんじゃないんだね」
「うむ。ほれ、そこに先ほど皮をむいた後のベニオウの実があるじゃろう。その実をつぶしてかけてみるがよい。ちゃんと酒になると思うぞ」
「うん。僕、やってみるね」
ロルフさんに言われた通り、僕は皮がむかれたベニオウの実をボウルに入れておっきな木のおさじでぐちゅぐちゅって潰した後、それに発酵のスキルをかけてみたんだよ?
そしたらちゃんと発動して、潰したベニオウ尾の実はお酒になってくれたんだ。
「ほんとだ! お酒になった!」
「そうであろう。これでスキルを使えなくなったわけではないと証明されたと言う訳じゃな」
ロルフさんはそう言いながら、ふぉっふぉっふぉって笑ったんだけど……。
「ヴァルトよ。むいたものではなく、皮つきのものにスキルを使えば発酵が成分の変化の原因かどうかが解ったのではないか?」
「はっ! 確かにそうじゃった」
さっき、ベニオウの実の皮に発酵を使ったらどうなるのかなぁってお話をしてたでしょ?
だからお爺さん司祭様は、なんで皮つきのじゃなくってむいたのを使ったの? って。
でね、それを聞いたロルフさんは、失敗しちゃったってしょぼんとしちゃったんだ。
気を取り直して、今度は皮つきのベニオウの実をつぶして実験。
それに発酵を使ってお酒にしてみたんだよね。
「それでは調べてみるとするかのぉ」
ロルフさんは早速そのお酒に解析を使って調べてみたんだけど、
「調べてみたところ、成分が髪の毛に効果のある薬効に変わった様子は無いのぉ」
でも発行を使う前と成分は全然変わってなかったんだって。
だから今度はね、むいた皮に直接熟成をかけてみようって事になったんだ。
「これで成分が変質しておれば、その皮を使ってポーションを作ればよいだけなのじゃが」
僕が熟成をかけるとね。ロルフさんはそう言いながら解析をかけたんだよ?
でもね、
「なぜじゃ。成分の変質が起こっておらぬ」
ちゃんと熟成はしたはずなのに、何でか知らないけどベニオウの実の皮の中の成分は髪の毛に効果があるものになってなかったそうなんだ。
流石にこの結果にはみんなびっくり。
何が悪かったんだろうって、みんな頭をこてんって倒したんだよ。
「ヴァルトよ。ベニオウの酒には、間違いなく髪の毛に効く成分が含まれておったのだな?」
「うむ。それは間違いない」
ロルフさんのお話を聞いたお爺さん司祭様はね、ちょっと考えた後にじゃあさっき作ったお酒を熟成させてみたらどうなるんだろうって。
「もしかすると、アルコールを含んだ状態で熟成させることによって効果が出るのかもしれぬ」
「なるほど。あり得る話じゃな」
と言う訳で、今度はさっき作った皮入りのベニオウのお酒に熟成をかけてみたんだよ。
でね、それをロルフさんに渡して調べてもらったんだ。
「おお、当たりじゃ。成分が髪の毛に効果があるものに変質しておる」
そしたらちゃんと髪の毛に効果があるように変わってたもんだから、ロルフさんは大喜び。
でもね、その時バーリマンさんがなんかに気が付いたようなお顔で僕に聞いてきたんだ。
「ねぇ、ルディーン君。今の熟成って、もしかして前に私たちが貰ったお酒と同じくらいの力でかけたのかしら?」
「うん。だって、さっきロルフさんが僕にもらったお酒を調べたって言ってたもん」
僕ね、何でそんな事を聞くんだろう? って頭をこてんって倒したんだけど、それを聞いたバーリマンさんは大慌てでロルフさんにこれじゃダメかもしれないって。
「何故じゃ、ギルマスよ」
「お忘れですか、伯爵。前に頂いたお酒の熟成具合は」
「いかん。もしここまでの熟成をせねば変質せぬのなら、これもまたルディーン君にしか作れるものとなってしまう」
それを聞いた僕とお爺さん司祭様はびっくり。
なんでダメなの? ってロルフさんたちに聞いてみたんだよ。
そしたらさ、僕が熟成させたお酒は普通の人には作れないんだよって教えてくれたんだ。
「え〜、でも熟成は使える料理人さんがいっぱいいるってアマンダさんが言ってたよ」
「うむ。確かに使えるものは多いかもしれぬ。じゃがな、ルディーン。君ほどの魔力量を持った料理人など他にはおらぬのじゃ」
「ええ。だからルディーン君が力いっぱい熟成スキルを使って作ったものは、あなたしか作る事ができないのよ」
僕、魔物をいっぱいやっつけたからレベルが12もあるでしょ?
でも料理人さんは魔物なんかやっつけないから、レベルなんて上がってる訳ないもん。
だから僕が力いっぱい熟成を使ったこのお酒は、レベルが低くて魔力が少ない料理人さんたちには作れないんだってさ。
「じゃからな。すまぬがもう一度、今度は適度に力を抜いて熟成をしてもらえるかな?」
「うん。えっとね、前にアマンダさんとこで10年くらい熟成させたお酒作った事があるんだ。あれとおんなじくらいでいい?」
「そうじゃな。それくらいであれば作れる料理人も多かろう」
ロルフさんがそれでいいよって言ったもんだから、僕はもういっぺん潰したベニオウの実でお酒を造ってからそれを10年くらい熟成したのとおんなじくらいになれーって熟成をかけたんだ。
でね、それをロルフさんに渡して解析してもらったんだ。
「どうですか、伯爵」
「うむ、成功じゃ。髪の毛に良い成分へと変質しておる」
そしたらちゃんと髪の毛がつやつやになる成分に変わってるよってにっこり。
「できたの? やったぁ!」
それを聞いた僕はね、うれしくなって両手を大きく上げながらぴょんぴょん飛び跳ねて大喜びしたんだ。
ちょっと遅めのご挨拶になりますが、皆さま、あけましておめでとうございます。
本年も引き続き転生ゼロをよろしく願いします。
さて、とりあえず髪の毛にいい成分は作りだす事が出来ました。
実を言うと、これを頭に振りかけるだけで髪の毛のつやはよくなったりします。
アルコールなので浸透率は高いですからね。
ただ、強めのお酒なので頭皮に少しでも傷があったらかなりしみますし、熟成させて香りが強くなったお酒を振りかけたりしたら周りから虫が寄って来そうですがw